3-1. テーマ
マフラーラインの「抜けカス回収時間」低減
~14年間、飛散が当たり前だった世界からの脱却~
〔講評〕「テーマ」という発表項目は、何も「テーマの名称」を発表せよ、という意味ではない。「テーマ」と題する以上、テーマの名称だけでなく、「ムダな作業の概略」を説明すべきである(そのうち分かる~ではダメ)。
1. 会社と職場紹介:省略
2. サークル紹介:省略
2020年度 中部品質管理大会のQCサークル事例発表会から、トヨタ自動車(株)35福田工場の発表をとりあげて講評する。
この事例をかいつまんで紹介すると、次のようになる。
プレス機械の操作に未熟な新人がいて、余分な時間を費やしている。そこで、新人の技能アップと新人でも使えるように機械を改造した。つまり、QC手法を使わない活動であり、QCサークル発表に向かない。 そこで、棒グラフという簡単なQC手法を(必要でもないのに)ふんだんに使った発表資料をQCストーリーに沿って作成して「QC活動に見えるように偽装」して発表した。 しかし、実は、本来QC手法を使うべき「肝心なところ」でQC手法を使い損ねた~という事例である。 |
今回の講評に当たって、前もってQCサークル制度の目的を確認しよう。
QCサークル発表会は、上の二番目の目的に沿うものでなければならない。
本件トヨタの事例も、例によってQCストーリーに沿った古典的なやり方だから問題ありは当然だが、特に重要な点を指摘したい。
しかし、良い点も見られるので、最後までお読み下さい。
以下、トヨタのQCサークル発表事例を項目ごとに吟味してみよう。
マフラーラインの「抜けカス回収時間」低減
~14年間、飛散が当たり前だった世界からの脱却~
〔講評〕「テーマ」という発表項目は、何も「テーマの名称」を発表せよ、という意味ではない。「テーマ」と題する以上、テーマの名称だけでなく、「ムダな作業の概略」を説明すべきである(そのうち分かる~ではダメ)。
1. 会社と職場紹介:省略
2. サークル紹介:省略
サークル会合の時に最近の困り事を聞いてみたところ、いつも大人しい若手の入江君が「午後一番にやってい る15点検(設備点検)ですが、15分で終わらないんですよね」と発言したので、私の一存で調べてみることにしました。
《15点検とは》
設備の清掃と断線や油漏れ等の点検を午後の始業から15分で行う作業をいいます。
〔講評〕
1.「テーマ選定理由」とは、どういう意味だろうか?
QCサークルはの目的に照らせば、発表会は相互啓蒙の目的で開催される。つまり、聴衆の参考になる事例の発表である。
そのためには「発表テーマの選定」が必要となり、さらに、事前に聴衆に対して「この後で発表するこの点がこのように参考になると思います」と予告しなければならない。
それが「テーマの選定理由」でなければおかしい。
ところが、この発表では「活動テーマ」の選定理由になっている(誤りである)。事実、この先を最後まで読んでも、どこがどう参考になると言っているのか、さっぱり分からない。
2.発表する必要はないが、「活動テーマ」について、若干の注意事項がある。
(1)「困り事」を取りあげようと考えてはならない。「困り事」がなければ活動テーマも見つからない事態に陥るからである。「もう少し何とかならないか?」と思えば、全てが活動テーマであり、改善テーマに困ることはない。
(2)活動テーマを1個に絞ってはならない。
〔大改善と小改善〕
・失敗(やり直し)が許されない一発勝負の改善活動を大改善という(ビルの建築、心臓手術、有人宇宙ロケット)。
・失敗が許され、七転び八起(PDCAサイクル)で進める改善活動を小改善という(研究目的の試作、実験、少額の本番)。
・規模の大小は、直接関係がない。例えば、失敗覚悟の実験用ロケットは数億円の損失になる。
まず現状時間を調べてみると、毎日オーバーしている事とばらつきがある事が分かりました。
〔講評〕
まずいところが2点ある。
1. 「毎日オーバーしている事とばらつきがある事が分かりました」とあるが、だからどうなのか、というコメントがない。つまりこのグラフを何の目的で作ったのか不明である。
2. これは15点検の全項目の合計時間のグラフであるが、不要な発表である。理由は、ムダな作業時間のみを把握すべきだからである。
15点検のどの項目にムダ作業があるか、毎日作業をしている担当者(入江君)及び同僚には分っている。
以下、続きです。
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上の項目について現状を調査したところ、最後の「抜けカス廃却」が計画時間を最もオーバーしている事が分かりました。
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「抜けカス廃却」は、バーリング機で発生する抜けカスをスクラップ置き場へ廃却する作業で、毎日行っています
〔講評〕
ムダな作業がどこにあるか、棒グラフというQC手法を使うことによって初めて分かったように発表しているが、これはウソ話である。
担当者(入江君)は、普段の業務で、ムダな作業が「抜けカス廃却作業」の、しかも「清掃作業」にあることを最初から知っている。
従って、下図のように「抜けカス廃却作業」の時間のみを時系列折れ線グラフで示すべきであった。

この同じグラフに改善後の状況を示せば、(平均値とバラツキが分かるから)効果を確認することができる。
抜けカスが回収受けに入るメカニズム
ワークをセットし起動を入れると、上型が下降し抜けカスが2枚抜け、ワーク内下に落下します。その後、加工されたワークを取り出す際、ワークを下型部になぞるように引き抜くと型の先端にカスが引っ掛かり回収受けに入ります。
このワーク取り出し作業は、カンコツ作業になります。
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飛散現象1(ワーク取り出し中)
ワーク取出し中に、ワークを持ち上げた時、型の先端に抜けカスが引っかからず設備内に飛散していました。飛散現象2(カス残り確認中)
ワークを傾け回収受けを狙って抜けカスを入れようとし、うまく入らず飛散してしまう。
ワークの中に抜けカスが残ると品質的に問題なため、この作業は必ず行わなければなりません。
〔講評〕
「4.現状把握」の後に「5.現状調査」が来るというのは、違和感を覚える。普通は、調査が先で、把握が後のはずだからである。
ここでは、抜きカスが飛散する原因を調査しているのだから、「5.原因調査」とすべきである。
それで、どんな原因で抜けカスが飛散するのか?
段取りとしては抜けカスが飛散せずに回収受けに入るようになっているが、「若手の入江君」、「カンコツ作業」、「入江君の技能向上を目指す」(7.推進計画を参照)などの言葉からして、要するに入江君が未熟練者であることが原因の一つである。
もう一つの原因は、熟練者でなければ抜けカスが飛散してしまうという設備の欠陥である。
従って、本件トヨタの事例は、次の二つの原因について改善を狙っていることが分かる。
このことは最初から分かっているのだから、「テーマ」のところで説明すべきである。
実際に飛散した抜けカスの回収作業をやってもらった。
簡単に回収できる状態になく狭いところに抜けカスが入り込んでおり、本来の廃却往復時間2分に余分な回収時間に4.1分が追加される状態になっていました。
目標 いつまでに 何を どうする 7月末までに 抜けカス飛散を無くし 15分/日で終わらせる
〔講評〕
「抜けカスの回収作業をなくして、4.1分の無駄をゼロにする」という目標を立てた、とある。
1. しかし、この目標は立つはずがない。
なぜなら、この段階では必ず成功するという(実験データや経験などの)根拠がなく、単なる当てずっぽうの願望(ビジョン)だからである。つまり、実際には目標を立てなかったが、成功することが分かったので、「後出しジャンケン」で目標を立てたように話を作った、ということである。
成功することを示すデータ(根拠)がないのに吹聴することを カンとハッタリ と称して、品質管理では厳禁である。このことを示すデータでモノを言えという格言がある。
2. 目標の設定は、QCサークル活動に大きな弊害をもたらす。目標を達成すればそれで終わってしまい、改善の余地があってもCAPDサイクルが止まってしまうからだ。参照 → 効果の確認
推進計画は、対策実施を中心に入江君の担当にしました。
サークルのレベルアップのカギである入江君の技能向上を目指すためです。
〔講評〕結論を言うと、これは発表用に作った飾り物であって、実際には立てていない計画である。立てることは、預言者でもない限り不可能だからである。
活動の途中で一週間程度の日程計画を立てるのはいいが、根拠もないのに活動の最初から最後までの計画を立てるのはハッタリである。
果たして一発で良い結果が得られるか、数か月かけて努力しても失敗に終わるか不明であり、計画は立たないはずである。
この点、方針管理では、長期方針中に前もって研究データを得ているので、年度計画を立てることが可能である。
特性要因図を用い4Mで解析を行い、要因の絞り込みをしたところ、設備の面で型とワークの隙間が大きいという主要因を洗い出すことができました。
〔講評〕
これはウソ話である。
「特性要因図を用い4Mで解析を行い、要因の絞り込みをしたところ、主要因を洗い出すことができました」とあるが、この特性要因図の内容を見る限り、そんなことができるはずはない。
「主要因」という用語の意味は、本件の事例では、「抜けカス飛散防止装置の欠陥」を指すと思われる。要因(原因かも知れない事象)を挙げても何の役にも立たないのであって、要因によりは原因を直接に調べた方がよい。
原因を調べるには、抜けカスがどこからどのような道を通って出てくるか、目視やビデオ撮影をしてスローモーションで観察すればよい。
〔注〕トヨタには、大野耐一氏が唱えた有名な三現主義の格言がある:「直ちに現場に行って、現品を見て、現実を把握せよ」。なぜ、これを実行しないのか?
本件の真実は、誰かが「型とワークの隙間が大きくなると、抜きカスが暴れる」ことを何らかの機会に経験して、原因を知っていたものと推測される。その事実を隠して、QCストーリー使って発表ストーリーを創作したと考えるのが最も合理的である。
もし、特性要因図を作って4Mで解析を行い、要因の絞り込みをすれば、「抜けカス飛散防止装置の欠陥」を洗い出せるとしたなら、これこそが「大変に参考になる発表の要点」であり、全国のQCサークルが知りたがる「宝石」と言っても過言ではない(現実は、不可能だが)。
にもかかわらず、次の要点について全く説明がないのである。
以上について全く触れないということは、ウソ話であることの証拠である。それにしても、なぜ、こんなウソ話をデッチ上げる必要があったのだろうか?
その答えは、次の「9.主要因の検証」で判明する。
すなわち、QC手法を使って要因分析をしたように偽装するのは、ここしかないのである。
内型にワークをセットして下側の隙間を確認したところ、10㎜の隙間が確認でき、ワークに抜けカスを乗せた状態で隙間を確認すると7㎜になり、抜けカスが通過してしまう為影響が大きい事が分かりました。
上の「抜けカスが通過するスキマ」の説明が、全く理解不能である。少なくも、次の説明が必要である。
この発表は、特性要因図から主要因を推測し、これを現場観察によって検証した...という筋書になっている。
これはトヨタに三現主義に違反する。
のみならず、このような回りくどい手順を取る人は、まず実在しない。抜けカスが暴れるなら、「なぜ、暴れるか?」と、設備の中を何らかの方法で覗くはずである。
QCサークルは、QC手法を使って職場の問題を解決すること(日常管理)を目的に設置され、参考になる情報を交換する目的で発表会が開催される。
QC手法を使わない活動は、本来、発表テーマにならない。
→ 小集団活動の目的
ところが、本件トヨタの事例は専ら固有技術による解決であって、QC手法を(使ったように偽装しているが)ほとんど使っていない。活動が終わった後に「効果の確認」で時系列グラフを使ったぐらいのものである。
サークルメンバーは、「グラフを描いてQC手法を使った」と主張するかも知れないが、それは違う。では、どうであれば、「QC手法を使った」と言えるだろうか?グラフを描けば、それだけでQC手法を使ったことになるか?その要件を列挙しよう。
このように定義してみると、本件ではQC手法が使われていないことが分かる。
そこで、どうやってQC手法を使って解決したように見せかけるか? これが「8. 要因の検証」である。特性要因図を作って、要因を列挙し、要因を絞って主要因を見つけ、そして検証した。これで、QC手法を使ったことになる...という主張らしい。
ところが、どのようにして要因を絞ったのか説明がないし、データがないから絞れるはずもないのである。
「隙間を抜けカスが通過する」を問題点とし、メンバーで対策案を検討したところ、3つの案が出ました。
番号 対策案 ① 抜けカスが通過する隙間を無くすストッパーを型に取り付ける ② 内型下半分を無くし回収受けを作る ③ 抜けカスを受けやすくする為に回収受けを大きくする これらを6つの観点で評価し、最も評価点が高い17点の案①を採用しました。
◎3点 〇2点 △点 ×0点 問題点 対策案 予想効果 コスト 安全性 品質 持続性 難易度 総合評価 採否 隙間を抜けカスが通過 ① 抜けカスが通過する隙間を無くすストッパーを型に取り 付ける ◎ ◎ ◎ 〇 ◎ ◎ 17 採 ② 内型下半分を無くし 回収受けを作る ◎ × ◎ 〇 ◎ △ 12 否 ③ 抜けカスを受けやすくする 為に回収受けを大きくする △ △ 〇 ◎ ◎ 〇 12 否
〔講評〕3つの対案の評価の仕方について疑問がある。
ここでは評価項目を平等に扱っているが、正しくは次の優先順に従わねばならなず、評価点に優先指数を乗じなければならない(下に、優先指数の例を示す)。
管理項目の優先順位 → 管理項目の優先順位
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抜けカスを21回落下させ、ストッパー幅を75㎜に設定しました。
QCサークルの目的の一つは、QC手法を使って職場の管理(日常管理)を進めることである。発表テーマも、QC手法を使った参考例でなければならない。ところが、本件の事例はQC手法を使う絶好の機会を逃している。
問題は、21回のテストのデータからカンで判断して、 飛散巾(=ストッパー幅)を75mmに設定し、そして失敗したことである。ここは工程能力指数CpというQC手法を使う絶好の機会であった。
工場内の課長か誰か、詳しい人に相談すれば教えて貰えたのではないか?そのようにして自己啓蒙を図ることも、QCサークルの目的である。
トヨタでは昔からQCサークルは上司の干渉を受けない「自主的活動」とする社風があった。2007年11月のトヨタ堤工場事件で名古屋地裁判決〔確定〕がQCサークルの自主性を否定してQCサークル活動が普段の仕事と何ら変わりない、課長の指揮・指導の下で行う日常業務であるとしたが、トヨタはいまだに昔の風習から抜け切れていないのかも知れない。
グラフから数値を読みとり、Excelを使って計算してみよう。果たして、飛散巾=75mmは適切であったか?

上で得た平均値μと標準偏差σから、下の図に示すように、最大飛散巾=80mm が得られる。

さらに、データ数n=21個という少ないデータ数の影響を補正(参照 → データ数nによる補正)すると、Cp=1.33 → 1.78に(標準偏差σは1.78/1.33=1.34倍に)しなければならず、最大、次の飛散巾を見込まねばならない。
従って、本件事例は、カンで判断したストッパー幅75mm は10mm 不足であって、データをQC手法で処理するというQCサークルの精神に反する。
もし、QC活動は自主的活動ではなく、課長の指揮下にあるという鉄則が浸透していれば、課長は統計的手法に詳しい人に相談して「データから適切な幅を計算する方法」を適用することができ、サークルメンバーも「そのような手法がある」ことを学べたはずである。
(続き)
抜けカスを遮断することができましたが、喜びもつかの間、生産を始めると数枚の飛散がありました。
どうしたら100%回収できるかについて話し合っていたら、入江君より「漏斗みたいなガイドを取付けてみては?」との意見があった。
ストッパー幅をヒントに直径80㎜でガイドを作製して取付け、回収率100%を達成しました!
うまく行かないときでも、すぐに諦めずに「再挑戦する」点は非常によろしい。しかし、「最初の対策がなぜ完全でなかったのか」、原因を検討した形跡がない。なぜ、検討しないか?
憶測ではあるが、QC手法というものは(グラフに表すなど)要するに状態を可視的に表現するだけの手法と理解し、問題解決に役立つという理解がないのだと思われる。
「結果が良ければ、全てよし」だ。そんなうるさいことを言わなくてもいい~という声が聞こえそうだが、QCサークルを提唱した石川先生が望んだのは「現場の問題をQC手法を使って解決するグループ」である。
なるほど、「QC手法による問題解決」に限らない制度も考えられる。その場合はQCという文言を削除して、単に「改善サークル」と改名すべきである。
対策前は抜けカスが70枚/日ぐらい飛散していましたが、対策後は抜けカス飛散がゼロになり、現在もゼロを継続中です。
〔付随効果〕製品単価3円低減・生産性が日1.6%向上・創意工夫高額提案提出。
2回のCAPDサイクルが時系列折れ線グラフを使って表示され、この点で特に問題はない。しかし、最初の現状(ベンチマーク:Benchmark)の打点数が少な過ぎて、平均値とバラツキの把握に困難を感じる。
〔第一の問題〕
これでは一貫性がなく、改善の前後の比較が難しい。
「現状の把握」で時間を時系列折れ線グラフで表し、その同じグラフに「改善後の時間」を表して効果を確認すべきである。 → 時系列折れ線グラフ
〔第二の問題〕
CAPDサイクルが2回で終わった点である。原因は、目標を設定したことにある。
目標を設定すると、それを達成すれば終わってしまい、CAPDサイクルを続ける余地がなくなる。目標の設定がなければ、CAPDサイクルは手段が尽きるまで続く。
例えば、毎日の15点検は本当に全部が必要なのだろうか?
項目によって、週に一回、月に一回で支障ないものがあるかも知れない。過去の記録を調べて発生頻度の少ない項目を週一回に切り換えるだけで、労なくして成果を生むことができる。このように過去のデータを生かすことも、品質管理では重要である。
抜けもれや、後戻りがないように、5W1Hで展開
〔オペレーターへの展開事項〕
- 合いマークで緩み確認
- ストッパーの摩耗点検
- ガイド取り付け状態の確認
- チェックシート記入
〔班長への展開事項〕
・チェックシートに確認・点検項目を追記
誰が 何を いつ いかに どうする なぜ オペレーター ストッパー固定ボルトを 使用前 目視 緩みがないか合いマークを確認、チェックシート記入 抜けカスを散乱させない為 班長 日常点検シートを 7/19までに 点検が出来る様に チェックシート追記 点検抜けを起こさせない為 さらに、生産技術部へフィードバックし、次期バーリング型への織り込みを依頼しました。
標準化について、特に問題はない。
生産技術課への申し送りは非常に結構だが、強いて言えば、対策の実施前に生産技術科の承認を得ることが必要である。
3-13. 入江君の成長: 省略
3-14. サークル成長: 省略
QCサークルは特定の個人の成長のための活動ではないから、サークル自身の成長を語るのが好まし。
~など、成長していないことに気が付いていない。
| 良かった点 | 改善点 | 今後の目標 |
|---|---|---|
| 若手を中心にサークル活動を進め、ストーリーの理解、改善技能の向上につなぐ事が出来た。 | 要因調査で発言が少なかったので活発に意見が出る様工夫して いきたい。 | さらにサークルをレベルアップし、会社の利益に貢献するよう、みんなで改善活動を進めていく。 |
これは、「QCストーリーに合った発表」のために作成したもので、実際に反省したという形跡はない。無駄な発表である。
およそ、QCサークルの「反省の発表」は無味である。その理由は、次の通り。
ここでは、CAPDを終えるならその理由、継続するならその予定を述べて欲しい。
本件トヨタの事例では、目標を達成したことを理由に活動を終えたことになる。つまり、目標を設定したことがブレーキになって、改善を停滞させている。
〔振り返って〕
今までの私たちは問題意識が低い状態でしたが、「抜けカスの飛散」が私たちに成長の機会を与えてくれ、改善意欲が生まれて考え方が変わり、更に現場を変えたい気持ちが強くなりました。
抜けカスに感謝です!!
これは極めて重要な視点である。なぜなら、 「問題とは、あるべき姿と現状との差をいう」 という「品質管理学会の通説」に異を唱えているからである。 → 問題とは
「問題は客観的に存在する」のではなく、主観的に「これは、も少し何とかならいか?」と問題視したものが問題だ、と考えるのが正しい。つまり、問題意識が「問題かどうか」を決めることに気が付いたことが、この発表の最も「発表価値の高い点」である。
筆者の信ずるところでは、この発表事例は次のように評価すべきである。
(1)「16. 活動を振り返って」が最もよかった点である。今後は、身の回りの全ての事項に対して「もう少し何とかならないか?」と、問題意識を持って観察するよう期待しよう。
(2) 次に、改善後に生産技術課に申し送りをした点である。
この事例の疑問点を列挙すると、次のようになる。
| 本件 | 改善の方向 | |
|---|---|---|
| ① | 活動と発表が |
発表テーマは1個、 |
| ② | 活動の理由(困りごと)を説明 | →発表の理由(参考点)。 |
| ③ | 活動全体の計画 | →立てない |
| ④ | 現状把握に棒グラフ | →時系列折れ線グラフ |
| ⑤ | 根拠のない目標 | →設定しない |
| ⑥ | 特性要因図を作成 | →直接に原因を調べよ(三現主義)。 |
| ⑦ | 環境,安全,QDCが同等 | →安全、環境、QDCの順。 |
| ⑧ | 対策後に生産技術課に連絡 | →対策の前後に |
| ⑨ | 現状把握は時間、効果確認は飛散枚数 | →両者を同じ特性にする |
| ⑩ | 目標を達成して終了、今後の予定はない | →改善の余地なくなるまでCAPDを回す |
| ⑪ | 反省を発表 | →発表しない |
| ⑫ | 今後の取組みに具体性なく、予定は不明 | →CAPDの見通しと理由を発表 |
本件トヨタの事例で最も重要な点をまとめる。