特性要因図に要因を漏れなく列挙せよ、と指導された人は、このページを読む価値がある。
![]() 殺人事件が起きた。 これはなぜだろうか? |
このページでは、QC活動の中で最も重要な要因分析と原因解析について説明する。
これらは普段、疑問にも思わずに見過ごしてしまいがちな重要問題である。
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このページは、QCサークルに、要因分析や原因解析に役立つ情報を提供します。
QCサークルが扱うテーマは小改善だから、難しい話は無用だが、多少のコツがあります。そこで、第一線担当者に容易に理解できる範囲で、有益と思われる情報を整理してみます。
上のような趣旨なので難しい割に役立たない技法は省略するが、見過ごせない誤った指導例を示して、注意を促す方針である。
まずは例題で準備体操をしよう。
A君とB君がある特性(不良率、原価、工数など)を改善するために特性要因図を作成した。A君は多数の要因を漏れなく列挙し、B君は1個の要因しか挙げなかった。
特性要因図の内容はさておいて、要因の数だけを問題にするものとして、どちらが適切か?
これに対し、B君の特性要因図は要因が1個である。
〔正解〕これまでの説明から、極めてやさしい問題だ。B君の要因1個が優れており、A君の多数の要因は誤りである。
理由は?
A君は、要因を多数列挙して一発勝負で一挙に解決しようと考えているが、対策を講じる要因をこの中から選び出すことは至難の業であり、問題を解消できるはずがない。
他方、B君は次のようにCAPDサイクルを始めようとしているから適切である。
(C)現状をチェックし、
(A)最も疑わしい1個の要因とその対策を考え、
(P)対策を決め、
(D)実施して、
(C)現状の効果をチェックして、不満なら、
(A)二番目に疑わしい要因を挙げ、
(P)対策を決め、
(D)実施して、
~と、CAPDサイクルの繰り返しを予定している。
B君は普段の仕事中で「これが原因ではないか?」と疑わしい要因をつかんでいて、それを特性要因図に記載した。これに対策を講じて効果が不足なら、第2の疑わしい要因を挙げて対策を講じるという具合に、次第に範囲を広げて要因を増やそうとしている。
以上の原因解析のやり方をQCサークルに指導することが極めて重要である。
特性要因図を描けば、どの要因に対策を講じればよいか判断が可能になるか?
〔正解〕ならない。
QC活動の事例発表の「要因分析」のところでよく耳にするのは、要因を多数列挙した特性要因図を示して「この中の重要な要因はこれとこれ」などと説明する。しかし、特性要因図を作成することによって重要性が分かる訳ではない。重要かどうかは、普段の仕事を通じて知っているのだ。
従って、重要な要因を示したいのなら、最初から「既に知っている重要な要因」だけを列挙すればよいのであって、重要でない要因を列挙するのは「要因を多数列挙せよ」との誤った指導による。多数列挙して、多数捨てるだけの「見せかけ」の特性要因図である。
ただし、特性要因図に列挙すべきは「重要な要因」ではない。
「重要な要因」に対策を講じれば、効果が出るか?
〔正解〕出る可能性はほとんどない。
重要な(特性に対する影響力の強い)要因は、通常、厳重に管理するから、これが原因になることは稀である。事例発表でよく耳にするが「重要な要因に対策を講じたら効果が出た」という話はウソ話である。
正しくは(重要な要因ではなく)「疑わしい要因」を挙げて対策を講じるべきである。すなわち、普段の仕事を通じて「これが原因かも」と疑っている要因を挙げて対策を講じれば、効果はあり得る。
最初に、一番疑わしい要因に対策を講じ、効果がなければ二番目に疑わしい要因に対策を講じる~という具合に繰リ返すべきだ。そして、効果が出れば、その要因が原因と確認される。この場合、要因分析をせずに原因解析(分析)だけを行ったことになる。
〔注〕
〔注〕直交配列表を使った実験では、要因と原因の両方を検証することができる。
「原因解析」とは?
〔正解〕原因ではないかと疑っている要因(疑わしい要因)が「果たして原因か否か」を確定すること。
従って、特性要因図を作成して重要な要因であることを検証しても、原因を解明したことにはならない。
原因解析は、通常、3つのやり方がある。
以上の準備体操を終えて、本論に進もう。
要因と原因は、同じ意味ではない。
「要因」とは、特性値に影響する事象をいう。影響するかも知れない事象や原因かもしれない事象を要因と呼ぶこともある。
〔例〕気温は、物の寸法に影響する要因である。
用語 | 意味・例 | 犯罪でいえば |
要因 | 気温は寸法に影響する要因だが、適切に管理すれば寸法不良の原因にならない | その犯罪を犯そうと思えば可能な人の全員 |
疑わしい要因 | 寸法不良の原因と疑われる要因 適切に管理していないかも知れない |
少数の容疑者 |
原因 | 寸法不良の原因 適切に管理していなかった |
犯人 |
1. 「要因を漏れなく列挙せよ」との指導がよく見られるが、誤りである。「単なる要因」を多数列挙しても、「対策を講じるべき要因」(逮捕すべき容疑者)は全く決まらない。
2. 「重要な要因」に対策を講じたら効果が出た、という話はウソである。「重要な要因」は、通常、管理されており、原因である可能性は少ない。むしろ「重要でない」として放置されてきた事項に疑いを持つべきである。
3. 列挙すべきは「疑わしい要因」、つまり普段の仕事を通じて「原因ではないかと疑っている要因」である。
4. 「疑わしい要因」に対して、行うことは2通りある。
指導例を吟味しよう。
"要因" とは、結果に関する主要な原因のことです。
全くの誤りである。
要因は「主要な原因」ではあり得ない。なぜなら、原因が分からないのに特性要因図に「主要な原因」を列挙できるはずがないからである。
〔注〕国語の辞書には、「要因とは、主な原因をいう」と書いてあるが、品質管理では別の意味で使われる。
原因とは、現に悪い結果を発生させた事象(犯人)をいう。別の表現をすれば、「事象Aがなかったら事象Bもなかった」という因果関係において、事象Aを原因という。
次に、因果関係の事例を紹介する。雑談を兼ねて、ティー・タイムとしよう。
やくざの親分Aとその子分Bが、親分宅で何やら血相を変えて怒号し合っている。子分Bが足を洗いたいと願い出たが、親分Aが許さないのだ。 ![]() そのうち親分Aが包丁を持ち出して子分Bを殺しにかかった。 Bはたまらず屋外に飛び出して逃げたが、親分Aは頭に血が上って、包丁を持ったまま追いかけた。子分Bが慌てて街路に飛び出したとき、運悪く通りかかったトラックに跳ねられて死亡した。 トラックの運転手Cには何の法律違反もなかった。子分Bが急に飛び出したために跳ねられたのであって、Cはごく普通に運転していた。親分Aは結局、包丁を使わずに引き揚げた。 親分Aは何の罪に問われるか、考え方によって意見が分かれる。
結論をいうと、判例、通説ともに親分Aは殺人罪である。 |
これらは似たような用語であるが、正確に区別しよう。
要因分析は、何が要因なのかを調べる活動である。次の2つのステップからなる。
この要因分析は小集団活動でも極めて重要な活動だされているが、疑問がある。要因であると検証できても、「原因である」という検証にはならないからである。
例えば、こうである。
メッキ時間を短くすればメッキ層が薄くなるから、メッキ時間はメッキ層の厚みの要因である。しかし、だからといって、メッキ時間が短いことが「メッキ層の厚み不良」の原因であることは、ほとんどない。メッキ層が薄いなら時間を延ばす調整を工程管理者が行うはずだからである。
従って、単に特性要因図に要因と思われるものを多数列挙して「重要と思われるもの」に対策を講じたら効果が出たという発表はウソ話である。
私たちは、よく、「特性要因図に要因を列挙する」という言い方をする。しかし、「原因かも知れないもの」という意味で列挙するなら、単なる要因ではなく「疑わしい要因」を列挙するのが正しい。
「単なる要因」を列挙するなら要因分析だし、「疑わしい要因」を列挙するなら原因解析であって、似ているようで全く違う活動である。ひとくちに「要因」といっても、意味が違うことに注意しよう。
要因分析 | 原因解析 | |
列挙するもの | 単なる要因 | 疑わしい要因 |
検証の目的 | 特性への影響力 (例)寸法に対する影響力の有無・強さ |
不具合原因の可能性 (例)寸法不良の原因になっているか否か |
誤った指導を受けたQCサークルは、多数の「単なる要因」を列挙する要因分析用の特性要因図を作成する。つまり、「特性に影響するのは、これで全部だ」という特性要因図である。これを作っても、どの要因に対策を講じたらよいか定まらない。
実は、この種の特性要因図は、「疑わしい要因」に思い当たらず「何が疑わしいか見当もつかない」という場合に、直交配列表を使った実験計画法で実験によってトラブルを再現する場合に適するやり方であって、QCサークル向きではないのである。
正しい指導を受けたQCサークルは、少数の「疑わしい要因」(容疑者)を列挙する原因解析用の特性要因図を作成する。つまり、「これらのどれかが原因(犯人)に違いない」という特性要因図である。従って、列挙したもののうち、最も疑わしいものから順に対策を講じてみることになる(対策先行型)。
現場知識が豊富で調査・検討が上手なほど列挙する要因数は少ない。特性要因図に要因を多数列挙するのは、現場知識が貧弱で調査・検討が下手なことを意味する。
次のようなひどい指導を見受けるので、要注意である。
- 要因を70個ほど列挙しなければ特性要因図とは言えない。
- 「なぜなぜ分析」で要因を列挙する。
- ブレーンストーミングで要因を列挙する。
上の記事を説明しよう。
1)「要因を70個ほど列挙せよ」というのは、「砂の中からダイヤを探す」考え方である。ほとんどの場合、結局はダイヤモンドは見つからず、列挙しても全部捨てるだけである。
正しいやり方は、要因を少なくすることである。
最初は「最も疑わしい1~2の要因」だけ挙げて調査し、それらが原因ではないと分かったら「次に疑わしい要因」を挙げて調査し、次第に範囲を広げる。
2)「なぜなぜ分析」は、再発防止のために根本原因を追究する手法であって、要因分析、原因解析、特性要因図~等とは全く無関係な手法である。
参照 → なぜなぜ分析
3)「ブレーンストーミング」は、やり尽くして行き詰まったときの「わらをも掴む」活動であって、普通は行ってはならない。
「疑わしい要因」が思いつかない場合は、データの収集と分析を繰り返すしかない。つまり、CAPDサイクルの繰り返しである。
これは「七転び八起」、「百折不撓」のやり方である。
当てずっぽうに要因を選んで層別や対策を講じてみる。失敗して元々だが、根気よく繰り返すうちに意外にも功を奏する。多数の失敗を重ねるうちに、次第に原因の範囲が狭まってくるからである。
CAPDサイクルは試行錯誤だからレベルの低い活動だという印象を受けるが、実はノーベル賞の授賞者や優れた研究業績のある研究者の多くは、これを何度も繰り返して成功した人達である。
ノーベル賞を受けた大村智先生は、静岡県伊東市のゴルフ場の土壌から放線菌を発見し、これが4億人の生命を救ったイベルクチンの開発になった。
そのような偶然の発見は、何百ものCAPDを繰り返さなければできない話である。
原因解析とは、ある疑わしき要因が(容疑者)が、原因(犯人)かどうか検証することである。
検証方法は、次の3つが代表的である。
ある疑わしい要因について対策を講じたらトラブル解決した場合、その要因が原因であると一応の確認となる。
一応の~とは、偶然の可能性もあるという意味である。従って、その対策のまま継続して再発しなければ、実用上、原因と確定することになる。
例えば、医師が自信をもって病気を診察できない場合、患者に試しに薬剤Aをしばらく服用させる。もし、病気が治まらなければ薬剤をBに変更する。それで病気が快方に向かえば、何の病気であったか確定する。
「しばらく服用させる」ことによって、偶然ではないことの根拠となる。
QCサークルが行う原因解析は、CAPDを繰り返して改善効果が出た場合、そのまま、しばらく継続して効果が変わらなければ、その要因が原因と確定する。
あるトラブルxが、毎回ではなく時折発生する場合、ある条件Aを実施すると毎回トラブルが発生し、従来通り戻すと再び時折発生するなら、その条件Aが原因であると一応いえる。
確定するためには、この変更を数回繰り返すか、現状から条件Aを排除する対策を講じみる必要がある。
QC手法を使ったやり方であり、QCサークルに推奨したい方法である。
疑わしい要因を層別して、現実の結果に影響していることを確認すれば、その要因が原因と確定する。
事例 → 疑わしい要因の層別
原因解析が、それぞれの活動タイプによってどう異なるか見ていこう。
下表の①②③を一括して「問題解決型」の活動という。原因を除去することによって問題を解決するタイプの活動である。
問 題 解 決 型 |
①原因確定型 | 原因確定後に対策 (大改善向き) | |
対策 先行型 |
②逐次対策型 | 1個ずつ対策を先行 (小集団向き) | |
③溜め込み型 | 複数要因を同時検証 (直交配列表活用) | ||
④課題達成型 | 仕事のやり方を設計 (原因除去できず) | ||
⑤施策実行型 | 原因・対策が既知 (小集団向き) |
原因を明確にしてからでなければ対策を検討・実施できないタイプの活動。失敗が許されない一発勝負の場合は、必ず原因確定型が採用される。
一発勝負だから本番でCAPDサイクルを回すことができず、本番前に予め入念に原因解析、そして対策を検討しなければならない。実験段階でCAPDサイクルを回すか、あるいは、相当の出費をして入念・詳細に原因や対策を検討する。
しかし、小改善では、原因解析で原因を明確にしてから対策を検討・実施するのは稀である。
QCサークルに原因の確定を要求すると「ウソ話の創作」に陥ること、従来のQCストーリーで全国的な実績が示す通りである。慢性不良の場合でも、CAPDサイクルによる逐次対策型の採用を推奨したい。
「疑わしい要因」 を1つ思いついて対策を打って効果を確認し、ダメなら「次の疑わしい要因」 を挙げて対策を講じる作業(CAPDサイクル)を繰り返すタイプの活動である。失敗が許される場合に採用する。QCサークルに最適のやり方である。
QCサークルは、事前に詳細・入念に研究する訳ではない。トライ・アンド・エラー(=CAPD)を繰り返す以外になく、目標も活動計画も立てることはできない。にもかかわらず、従来のQCストーリーを強いられて、ウソの目標と計画を発表した事実は周知の通りである。
逐次対策型の場合、特性要因図の作成に次の特徴がある。
1個の「疑わしい要因」を思いついたら、それを特性要因図に記載する。
対策を実施して効果が出たら、記載をそのままにする(枠で囲む等の印をつけるのも可)。
対策を実施して効果が出なかったら2本線で抹消し、次の「疑わしい要因」を特性要因図に記載する。
以下、同様に繰り返す。
活動終了後、特性要因図を工程設計部署(あるいは、業務管理規定を作成する部署)に提出し、参考に供する。
直交配列表を使って複数の原因候補を同時に検証するタイプの活動である。複数の「疑わしい要因」があって、次のような場合に採用する。
「疑わしい要因」を1個ずつ検証すると、時間や費用の面で都合が悪い。
2個以上の原因候補の組合せで問題が起きると疑う場合。例えば、高温多湿、低温乾燥という組み合わせで影響が出そうな場合。
このタイプは、やり直しの効かない大改善の場合もあれば、出費の少ない小改善の場合もあり得る。直交配列表を簡便に使えば、QCサークルの活性化に役立つ。
参照 → 直交配列表
「疑わしい要因」をいったん特性要因図に溜め込んで、そこから検証すべき一式の要因群を選定して検証実験(原因分析)をする。
この実験では、量的要因なら実際の業務で変化し得る最大値と最小値、材料ならA材料とB材料で実験するので、どれかの条件で不良品の発生が再現されれば原因の検証になる。
原因を問題にしても解決しそうもない場合、従来の仕事のやり方を廃止して新たに設計するタイプである。新たに設計するのは、作業手順、治工具、運搬具、その他である。当然であるが、実施するにあたって、職場の課長や工程設計部署の承認を必要とする。
新たに設計した仕事のやり方を実施した場合に、それで問題が完全に解決すれば終了する。しかし、何らかの問題が残ったら、ここで問題解決型や施策実行型の活動に切り換えて改善を継続する(CAPDを回す)。
原因や対策案について事前に見当がついている場合の活動であるが、いろいろなケースがある。
活動の前に作るのではなく、活動の進展に対応して、以上を反映した特性要因図を作成する。
多くの場合、「疑わしい要因」は1個であり、列挙した要因が1個の特性要因図となる。
対策を実施し、時系列折れ線グラフを作成して効果をみる。完全解決に至らなければ、さらに「疑わしい要因」を増やして対策を講じる。
これは問題解決型の逐次対策型とほとんど見分けがつかない。
〔注〕日科技連:細谷克也著では、施策実行型の場合は特性要因図を作成しないとしているが、次の理由により作成するのが正しい。
「疑わしい要因」はあるが、対策を講じることが結構大変であり、失敗を恐れて実施に踏み切れない場合がある。
もし、「限りなく原因に違いないと確信させるデータ」が何らかの方法で得られれば対策の実施に踏み切れる。
こういう場合の原因解析のやり方を紹介する。
塗装用ハンガーがある(下図参照)。
図の状態で、円柱状の塗装素材が左右に合計8個、下のばねの反発力で持ち上げてハンガーに取りついている。
取り扱い中に、この素材がバラバラに落下して不良品になる不具合に取り組むことになった。
5年前に操業を始めた頃は、それほど多くはなかった。従って、疑わしい要因として次のような意見が出た。
試しに、ハンガーを揺すったり持ち上げたり、いろいろと扱ってみたが、容易に崩れなかった。従って、上記の②は原因ではないと推測される。
しかし、①が原因だとの確信は得られなかった。
「ばねのヘタリ」が生じたと疑うが、直ちにばねを新品に交換する訳にもいかなかった。
何しろ、このようなハンガーは500本も使用しており、1本や2本に改良を加えても、改善効果を確認できない。500本のハンガー全部のばねを交換するのは結構な労力と費用を使うから、やって見て失敗だと悔しい。
ある日、メンバーの一人がアイデアを出した。
塗装素材には4つの機種があって、重さがかなり違う。だから、「もし、ヘタリが原因なら、バラケの発生率は機種によって違うのではないか?」と言い出した。
なるほど、ばねのヘタリが原因でなければ、素材の重さと無関係にバラケが発生するはずだ。
そこで、日常の不良記録から機種別に落下率の棒グラフを描いた。データ(落下率)を要因(重さ)の水準(重さのレベル)で分けることを要因の層別という。
もし、ばねが十分な力で素材を押し上げているなら、落下率は素材重量と無関係のはず。だが、グラフは素材重量が増えると落下率が急激に増大することを示したので、明らかにヘタリが原因である。
上の棒グラフによる要因の層別は、「要因分析」か? それとも「原因解析」か?
正解は原因解析である。次の理由による。
1.ばねのヘタリが要因であることは、検証せずとも分かる。ヘタリがあれば、素材がばらけるのは当然だから。
2.ヘタリが要因であることは分かっているが、「原因かどうか」が検証の対象である。
もしヘタリがなければ素材の重さによって落下率が変化するはずがないから、変化したということは、現にヘタリによって素材の落下が起きていると確信できる。
次の対策を実施した。
「疑わしい要因」を1個ずつ層別して検証するときは棒グラフのような簡単な方法で済むが、複数の要因を同時に検証する場合には、直交配列表が便利である。特に、次のような場合である。
1.複数の「疑わしい要因」を1個ずつ検証すると、時間や費用の面で都合が悪く、全部を同時に検証したい。
2.複数の「疑わしい要因」の組合せで問題が起きると疑う場合。例えば、温度と湿度を別々に検証しても影響力は出ないが、高温・多湿、低温・乾燥という組み合わせで影響が出そうな場合。
3.直交配列表による実験で、不良が再現されれば原因解析の有力な手段となる。生産工場は言うまでもないが、商店の売上増加要因の予測、病院の日別患者数の予測、手術の「縫い糸」の種類別の治癒効果の検証、その他で応用することができる。
4.直交配列表によって、「疑わしい要因」に思い当たらない場合も、「多数の要因」を同時に検証することもできる。
ところが、直交配列表を解説している書物は「実験計画法」だけである。
これを勉強する人は限られて、一般には存在すら知られていない。大学の理科系学部でも、履修科目として選択する学生は少ない。まして、企業の作業者・下級・中級・上級職員などで直交配列表を利用する人は極めて少ない。
その原因は、直交配列表を分散分析・F検定・有意差検定・平均値の推定などの統計処理を前提に使うものとしている点にある。これだと、一般の人は数式を見ただけで頭が痛くなって手が出ない。
当研究所は、全く統計処理をせずに直交配列表を使うやり方をQCサークルに推奨している。それで何の問題もなく、コンピュータ・ソフトを使う必要もなく、きわめて便利に使える。知っている人には無用な説明だが、初心者のために例題を解説している。
参照 → 直交配列表
一度覚えれば目をつむっても使えるから、最初だけ丁寧に読んで頂きたい。