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タイトル
改善活動の手順に関する考察 (3)----─方針管理─--- |
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本論に入る前に前回発表までに扱ったいくつかの重要なポイントに触れよう。 第1に、目標は、大改善で結果の蓋然性と最善性を保証するために設定するもので、次の手順が不可欠である。図に示すように手段A、B、Cなど全ての手段を検討し、成果、出費額、その他の入力と出力を定量化し、トレード・オフによって最善手段を選定する。 こうして決めた目標は具体的・客観的なもので、大改善では不可欠の手順である。従って、この手順の前に主観的目標を設定しても無意味だし、小改善に目標を設定することも不要という結論になる。 |
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第2に、ニーズと目標の差で反省を行う。
ニーズよりも高い目標が立った場合でも、実績がニーズよりもかなり低くなったときは同様である。 |
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第3に、客観説の目標データは蓋然性が高いので、 いろいろな面で利用される。 今回の発表に直接関係するのは、方針管理における経営者の反省の仕方である。通説はトップ診断という反省の方法を設けていますが、それはあまり役に立たない(後述)。 客観説では、テーマ・ストックの目標データを見て、それがニーズに対して貧弱なら企業体質を反省する必要が出てくる。 |
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第4は、方針のあり方である。 出費の多い改善(大改善)は、何でも手をつけるのではなく厳選を要するので、どのような活動テーマを選ぶかという方針が必要になる。反面、小改善は方針とは無関係である。 長期方針は基本的には長期的なニーズと戦略から生まれる。長期方針に従ってテーマ・ストックを溜め込んで、そこからメリットの高いテーマを選んで年度方針にする。 テーマ・ストックが貧弱なら、経営者の反省によって体質強化に後戻りするしかない。 方針管理は、この大改善を全社的な規模で行う場合に該当する。 |
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ここに列挙したのは、多くの企業が経験する実務上の問題点である。ところで、
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通説の方針管理を概観すると、一見、弊害がないように見える。例えば、~
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批判に移ろう。 まず通説が 「方針=目標+方策」 と説くのは不合理である。「どんな手段でどんな成果を得るか」というのは、テーマのからである。 方針は、テーマを選定するための指針である。従って、成果を重視するなら方策のカテゴリーはいろいろあってよく、方策を重視するなら成果のカテゴリーはいろいろあってよいはずである。 例えば自動化を進める方針では、成果は原価低減、不良低減、労働安全、在庫削減などいろいろあってよく、特定の成果に限るのは通常は不合理的である。 従って客観説では、 成果方針と方策方針を承認する。 |
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次は目標概念であるが、この問題は第1回発表の主テーマであった。 通説の目標概念は主観説であって、その実体は願望、ニーズ、ノルマである。 それは蓋然性や最善性を保証したものではないため、革新的な大改善の目標として、多くの場合に不適当であることは、既に第1回発表で検討した。 従って、方針=方策+目標 のうち、方針の概念、および目標の概念分が不適切ということになる。 |
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残りの「方策」の概念はどうか? 通説の方策概念には、不可解な矛盾がある。 まず、「方策」と「方策カテゴリー」を混同している。「目標を達成する方策」と言いながら、実施できない方策なのである。
例えば「自動化」というだけでは実施できないから、方策ではなく「方策カテゴリー」というべきである。 |
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次に、方策と効果を混同している。 「売上げ倍増」という目標を達成するための方策が「顧客数の50%増」であり、次の その方策を目標にして 「訪問頻度の増加」という方策を展開するという。 ところが「顧客数の50%増」というのは行動ではなく方策ではあり得ない。 正しくは「訪問頻度の増加」という行動が方策で、その第1次効果が「顧客数の50%増」、その第2次効果が「売上げ倍増」である。 つまり通説の方策概念は、実施して成果を生む本来の方策の他、方策のカテゴリー、および方策の効果と混同していることになる。 |
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通説によると、方針展開とすり合わせによって、漏れのない目標と方策の実行計画が作れるとある。 しかし、
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通説は、方策の策定に当たってQC手法で業務プロセスを分析し、科学的なアプローチになるというが、
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通説は、方針管理に進捗チェックの機能がある故に進捗管理が適切に行われる~と主張する。具体的には、実施計画による進捗チェックとトップ診断を指します。しかし、
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トップ診断には、次のような問題がある。
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ここからは、客観説の主張に移る。
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方針の設定が円滑でない場合もあるが、客観説では柔軟に対処することができる。
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客観説の方針展開は、方針の内容であるニーズを系統的に示したもの(ニーズ展開)を言う。それが明確でないと、その後の検討が進まないからである。
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テーマ・ストックが貧弱なら、人材や組織を始めとする経営資源を補充する必要がある。十分な期間があるのにテーマ・ストックが貧弱なのは、もはや業務プロセスの分析という問題ではない。 テーマストックによる体質点検は、目標データという蓋然性の高いデータに基づく反省であり、年に1~2度の集会で虚偽報告やデータねつ造を見破ることが困難なトップ診断とは根本的に違う確かな反省である。 表のA、B、Cの各社を比較すると、従来の方針管理にこだわったC社の態度に疑問があることは明らかである。 |
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方針管理について通説の立場からも問題点の指摘がされて来たので、一例を示す(鐵健司編著、「TQCとその進め方」 P.56. 日本規格協会)。 しかし、内容をみると、通説が自ら招いた問題点であることが分かる。通説の理論自体を是正しなければ回避できない。 目標=ノルマだから「単なる目標のわりつけ」になるのは当然だし、方策でないものを「方策」と呼ぶのだから「達成する方策が不明確」なのも当然である。また、ノルマと実施できない方策を押し付けるのだから、すり合わせも実行計画の進捗も困難になるのは当然である。 |
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主観説と客観説を分ける最大の壁は、最初の目標概念の相違にある。 これが「方策」と「方針」の相違になり、客観説は方針管理の全ての点で違った構図を主張することになる。 次回予定の小集団活動でも、目標概念の相違から始まって全ての点で改革を迫ることになる。 以上で今回の発表を終わります。 |