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構造化知識研究所からの抗議


客観説TQM研究所 代表
 鵜沼 崇郎

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構造化知識研究所からの抗議の趣旨

このページでは、客観説TQM研究所に対する構造化知識研究所(田村泰彦氏)からの抗議に対して反論します。

〔注〕構造化知識研究所のHPに、「非論理的な批判に対する弊所の抗議」と題してweb上に当方に対する抗議文が公開されている。

当方はFMEA解説において、構造化知識研究所のホームページに掲載されているFMEAの誤りを指摘しています。田村泰彦氏からは、その記事を削除して欲しい旨の依頼がありました。

当方は、構造化知識研究所のFMEA解説が納得のいく正当性を有するなら、お詫びして削除・訂正する意向です。しかしながら、正当性の説明は全くできず、しかも削除して欲しいとの要請だったのでお断りしました。その後、メールを通じて田村氏の解説がどう間違っているのか懇切丁寧に説明しました。

ところが理解されなかったようで、構造化知識研究所のホームページに当方に対する抗議文が公開されています。この抗議文を読めば、田村氏いかにFMEAを誤解しているか、一層明らかになります。そこで、このページで取り上げることにした。

構造化知識研究所の抗議は、研究者の良心に基づくのか、それとも我を張るだけか、読者はどのように解されるだろうか。


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1.故障と故障モードの意味

当方が指摘した間違い、及び、それに対する反論を紹介する前に、基本的な用語の意味を明らかにして置く。

JISの用語規定

JISの用語規定で、次のように定められている(JIS Z 8115)。

故障とは、アイテムが規定の機能を失うこと。

故障モードとは、故障状態の形式による分類。例えば、断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化など。

つまり、次のことが明確に規定されている。

仮にJISの規定がなくても、理論から、そのような意味であることを導くことができる。

〔注〕製品に異常が起きるとき、構造破壊(変化)と機能障害が起きる。このうち、後者の機能障害を「故障」と呼ぶのであれば、前者の構造破壊が故障モードを意味することになる。故障モードに、それ以外の意味を与えることは、構造化知識研究所が天才集団であるとしても無理な話である。

また、故障モードの意味は、アイテムが部品であっても、サブ・アセンブリーであっても、ユニットであっても完成組立品であっても変わらない。

つまり、アイテムが部品の場合の故障モードは「こういう意味」であり、アイテムが組立品の場合は「ああいう意味だ」などと変わったりすることはない。


組立品に故障モードはない

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故障モード(構造破壊)は個々の部材に起きるのであって、組立品(Assembly)自体の故障モードというものは存在し得ない。

「組立品が壊れる」というのは、組立のねじが緩む、接着がはがれる、リベットが錆びる等、組立品を構成する個々の部材に破壊が起きることに帰する。

従って「アイテム」の記載欄に「何々アッセンブリー」と組立品の名称を記載するだけではアイテムが特定しない。

〔注〕構造化知識研究所のFMEAでは、「組立品の故障モード」という不思議なものが登場する。それは、故障のことを意味するらしい。


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2.構造化知識研究所のFMEA

田村泰彦氏の肖像

FMEAについて間違った指導をする講師やサイトが跡を絶たない。例えば、構造化知識研究所(田村泰彦氏)というサイトのアセンブリのFMEA表の一部を引用する。

ユニットの故障モード
アイテム 機能 故障モード
冷却
ファン
ASSY
電装ユニット内の熱を放出するエア吸い込み量が低下
騒音がなく、静かファン筐体の異音

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2-1. 「アイテム」の欄に着目

「アイテム」とは、故障モードの発生場所を示す用語である。

そこに「冷却ファンASSY」という組立品が記載されている。組立品に故障モードがあると考えているようだ。〔参照〕→  組立品に故障モードはない

田村泰彦氏は、下図のようなアイテム欄を構成し、故障モードがどの部品・部位に発生するのか、明示しなければならない。

フォーマット
組立品のアイテム展開
品名
(アイテム)






対策

a


b


c
RI





(組)
接続部 ホース
バンド                  
締めねじ                  
竹の子                  
                     
                     

組立品をこのように展開しないという初歩的な間違いが、次の間違いにつながる。

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2-2. 「故障モード」の欄に着目


ユニットの故障モード(再掲)
アイテム 機能 故障モード
冷却
ファン
ASSY
電装ユニット内の熱を放出するエア吸い込み量が低下
騒音がなく、静かファン筐体の異音

「故障モード」の記載欄に故障が記載されている。

これらは、明らかに機能の異常(=故障)であって故障モードではない。これは、何と言い訳をしようが逃れようがない間違いである。

故障と故障モードの区別を理解しない初心者が犯す誤りである。しかも、トップダウンしていることも疑いの余地がない。

アイテム → 機能 → 故障

田村氏はこれをも否定し、非論理的な批判に対する弊所の抗議 と題す当方への抗議文をウェブに公開している(一部を引用)。

・「故障モード」は、当該アイテムに発生する望ましくない(設計で意図したあるべき姿から乖離した)技術的な事象である。

・「故障モード」は、一部抜粋であって全てを列挙した訳ではない。

・「機能」は、故障モードを導くためではなく、説明のために記載しただけで、省略してもよい項目である。

・故障モードは、機能を付与すべく設計される構造、材料、工法などの設計仕様から予測するものである。

これが抗議の何らかの足しになるのか、吟味してみよう。

  1. そもそも田村氏の「故障モード」の定義はあいまいで、意味不明である。すなわち、

    故障モードは、当該アイテムに発生する望ましくない(設計で意図したあるべき姿から乖離した)技術的な事象です

    と主張している。
    それだと、機能障害も構造破壊もそれらの原因も望ましくない技術的な事象だから、全く区別がつかなくなる。田村氏ご自身が「故障と故障モードの区別」を理解していないことを積極的に告白したことになる。

  2. 故障モードを予測するのに必要だとされる「構造、材料、工法などの設計仕様」なるものがどこにも記載されないのは、なぜか?

  3. 田村流で予測した「故障モード」なるものは行方不明で、一体全体どこに記載されたか?

  4. 故障モードが発生する部位が「アイテム欄」に記載されていないのは、なぜか?

  5. 「故障モード欄」に、なぜ、故障が記載されているのか?

このように、弁解すればするほどボロが出てきて、まともな説明になっていないことが分かる。他にも5個ほどの重要な誤りがあるが、これ以上触れなくても「誤りのひどさ」を読者は容易に想像できると思う。

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3.結論

私どもは田村氏に対して懇切丁寧に説明したが全く理解されず、逆に非論理的な批判に対する弊所の抗議と題してweb上に抗議文を公開された。田村氏は、私どもに対して「十分に説明した」と述べているが、それは全くのウソである。何も説明できなかったのが実情である。もし説明したというなら、上の疑問に答えて頂きたい。

このような明白な過ちすら認めず「口先で言葉を左右にして押し通そうとする」のは、研究者としての真摯な態度に欠けると判断し、当方も実態を公開することにした。田村氏に対しては、ゼロから再出発するよう進言する。

構造化知識研究所の事例は、
 1. 誤ったFMEAの典型事例を網羅し、
 2. 分かりやすい「間違い探し」として、
 3. 初心者向けの教育資料に最適である。

今後も指導・教育の試料として使わせて頂く予定である。

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(以上)