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チェックシート, チェックリスト, 事例

このページでは、日常管理で行う記録・調査・点検・確認などの作業の便宜を図る用紙のフォーマットについて説明する。


目 次

用語

チェックシートとチェックリストの違いを説明する。

チェックシートとは、データが楽に取れて、しかも整理しやすくなるように、「✔、〇、/ 」などの簡単な記号を記入する欄を予め設けた用紙のことをチェックシートという。
 記録・調査用と点検・確認用に分かれる。

チェックリストとは、点検・確認用用チェックシートのことであるが、チェックシートと呼ぶこともある。

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1 記録・調査用チェックシート

「多分こうだ」とか「多い、少ない」ではなく、データでモノを言え。

第1-1図は、ある製造工程で「/」印を使って記録した事例である。

不良品が見つかるたびに「/」印をつけることになるが、こうして出来上がったものは、現場の状況を判断するデータになる。

〔事例〕

小集団の発表会で、第1-1図のチェックシートがスクリーンに映し出され、説明が行われた。

〔第1-1図〕
チェックシート

工程で発見した不良品の現品を項目別に分けて保管し、終業時に数えて、このようなチェックシートを作成した~というのだが、これは妥当か?

〔解説〕
 不良品を項目別に分けて保管しているなら、その保管したものを数えて「6」などと記録すればよいから、「/」 印をつける意味がない。

不良品を保管せずに工程に戻す場合は、「/」 印をつけて記録する必要がある。

チェックシートを講習会で習ってきた社員が、こういうものを作って遊んでいる光景をみることがある(本人は良いことをしていると勘違いしている)。QC手法を使った素振りの目的で作成したもので、妥当でない。

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2 点検・確認チェックシート

これは点検作業や組立作業などで、多数の作業を次々に行なう場合に、漏れを防ぐために使われる。

 手抜きしても問題なさそうなケースでは、チェックリストを与えても手抜きされる。  
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2-1 設備点検チェックリスト

第2-1図は、ある機械の月1回点検のチェックリストである。これは、自主点検と称して、その機械を使う作業者が点検することが多い。

注意すべき点は?

〔第2-1図〕
設備点検チェックリスト(毎稼働日)
設備:検尺機設備:検尺機
点検
事項
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
プーリーナット緩み ×
LSWの作動
カッター取っ手の破損

〔解説〕
 次のような手抜きが起こりがちである。

  1. プーリーのナットは左ねじで機械を運転すれば自然に締まるから、緩みの点検はやらんでもいいだろう。

  2. リミットスイッチは、使用中に異常が分かるはずだ。

  3. カッターの持ち手は、使うときに点検すればいいや。

こうして、今日も明日も点検したことにして全項目に丸をして終わる。この傾向は、チェックリストを使わなくても「滅多に起きないし、仮に起きても大問題にならないケース」で多くみられる。

一方で、「起きやすいか、起きたら重大な被害を生じるケース」では、チェックリストに全面的頼ることにリスクがある。対策として、次のようなことが行われる。

  1. 自主保全は、毎日15分、一斉に行う。
  2. チェックをする作業者と記録者を分けて、冗長設計に近づける(→ #疑似冗長設計)。
  3. チェックシートを使わず、ポカ除けを工夫し、又は、センサーで自動点検を行なう。
  4. 設備点検用のチェックシートは、設備保全部門が定期点検・定期交換・予知保全を実施するときに使う。
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2-2 JR東海・架線切断事故

架線が切れて約3H20分の停電が起きた事故で、JR東海は2010-02-27、原因となった作業ミス(パンタグラフの交換時にボルト4本全部をつけ忘れ)をした作業者3人と上司の処分、それに再発防止策を発表した。

処分の当否は別として、問題は再発防止策である。チェックシートを4月までに完備するという。

しかし、チェックシートを作っても、いずれ手抜きが起こりかねない。ここは是非ともポカ対策をやって欲しい。

例えば、作業者とチェックシート使用者(監視人)を分けるだけでも有効である。
 → #疑似冗長設計

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(終わり)

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