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FMEA  FTAなぜなぜ分析

7. 散布図

このページでは、散布図の意味、作成目的、作り方、典型的な散布図の解釈について説明する。


目 次

1. 散布図とは

 散布図とは、対になった計量値のデータ(X,Y)のバラツキの関係を表わす点グラフをいう。
  要因 X のバラツキが 特性 Y のバラツキにどう影響するかを表す(第7図)。

〔第7図〕
相関図の見本

〔注〕散布図におけるX、Yの値は、正規分布に類似する「ばらつきデータ」でなければならない。従って、
 1. エアコンを使う時間Xと消費電力Yの関係をプロットした点グラフを作成しても、散布図にはならない。
 2. 同一人の身長Xと体重Yを繰り返し測定した値を打点しても散布図にはならない。打点のバラツキは「測定誤差」であって、XとYの関係を示すものではないからである。

→ 目次

2. 目的

 特性値Yがばらつくのは、何らかの原因Xがばらつくからである。従って、どの要因が原因になって特性値Yがばらついているのかは、いろいろな要因 X1, X2, X3, ...のバラツキとYのバラツキとの関係を調べればよい。

→ 目次

3. 作り方

 分布の横幅 X0 と 縦 Y0 がほぼ等しくなるように座標軸の目盛りを調節して作成する。

〔第7-0図〕
相関図の作り方を示す図

 多数のサンプルの計量値(X,Y)がそれぞれの平均値のまわりに正規分布状にばらつく場合に、横軸に要因 X の値をとり、縦軸に特性 Y の値をとって、対応する交点に対のデータ(X,Y)を多数打点したものが散布図である。

 上の図(第7-0図)の場合、一見して X が増えると Y も増える関係にあることが分かる。あたかも X のヒストグラムと Y のヒストグラムを平面に展開した関係になる。

 従って X の分布、Y の分布、及び、X と Y の関係を読み取ることができる。

 
→ 目次

4. 典型散布図

(a)強い正の相関:X-Y2

 X が増えれば Y2 も直線的に増える傾向が強い散布図である。

 X が要因で Y2 が特性の場合は、X を管理して Y を目標値に維持することができる。その場合は、回帰直線を求める。X、Y2 が共に特性の場合は、一方から他方を推定することができる。

強い正の相関

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(b)強い負の相関:X-Y3

 X が 増えれば Y3 が直線的に減少する傾向が強い場合である。

 X が要因で Y3 が特性の場合は、X を管理して Y3 目標値に維持することができる。

その場合は、回帰直線を求める。 X、Y3 が共に特性の場合は、一方から他方を推定することができる。

強い負の相関
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(c)無相関:X-Y4

 X が増えても Y の増加が見られないので、X と Y4 の間に相関があるとはいえない。Y4 を管理するためには、Y4 に影響を与えている他の要因を見つけ出す必要がある。

無相関
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(d)疑いのある相関(1):X-Y5

 この場合、2つのデータ群が存在するのか、それとも連続する負の相関にありながらデータが欠けているのか。いずれにせよ、データが不足して確かなことが言えない。データを増やして確認しなければならない。

img/d

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(e)疑いのある相関(2):X-Y6

 X と Y6 の間に強い正の相関があると推測されたが、Z1 と Z2 で層別すると、Z と Y6 の間には強い負の相関が推測され、X とY6 の間は無相関だと分かった。

層別相関
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(f)疑いのある相関(3):X-Y7

 最初、X と Y7の間には負の相関が推測されたが、要因 z で層別すると、X と Y7 の間には正の相関の存在が推測される。このような関係は、データを層別することによって発見されることが多い。

負の層別相関

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(g)異常点

異常点

 ヒストグラムでの「離れ小島」に相当する異常点が現れた場合、その原因を究明する必要がある。

 ・不良品
 ・原材料の変更
などに注意する。

→ 目次

(h)結果の層別

 要因 X と要因 Y をそれぞれの所定範囲に管理していても、X と Y の組合せによって不良が生じる場合があり、その条件を割り出すのに役立つ。
  〔参照〕→ 結果の層別

〔第6b図〕
結果の層別
→ 目次 
(終わり)

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© 客観説TQM研究所 鵜沼 崇郎