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第7章 QCサークルの 進め方/活性化

QCサークル

QCサークル活動の進め方を指導するサイト、指導機関、セミナー、著作物は多数ある。彼らは、長年誤った指導をして、QCサークルの活性化を妨げてきた。

その彼らが、今、活性化を指導しているが、何が間違っていたか気づいていない。

「活性化」とは、どういう意味か? 「やりたくて仕方がない状態」のこと。この終点を目指して、まずはQCサークル廃止論から入って行こう。

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目 次
QCサークル廃止論
1-時代と背景
2-無給で強制
3-指導への批判
1.指導者は誰?
1.トヨタ事件
2.課長の日常管理
2.QC活性化の現状
1.従来の活性化
2.衰退の一途
3. 筆者の活性化
1.以前のHP
2.検索エンジン
3.楽しさ止まらず
4.成果も上がる
4.QC活動の進め方
課長は課長職に徹す
テーマは無限にある
同時に多数のテーマ
簡単なことをやれ
少しの効果を喜べ
CAPDを繰り返す
上司も一緒に考える
相談所を設ける

→ 目次

QCサークル廃止論

QC活動の廃止が進んだのは事実である。小さな改善を七転び八起で積み重ねる活動であるのに、従来の指導が「QCストーリーによって、一発勝負で大きな成果を出せ」というもので、ダメなのは明らかだ。
 この点について、いくつかの見解を見てみよう。

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1-時代と背景

QCサークルは高度経済成長の頃に盛んに活動されていた。しかし、1990年以降はバブル経済崩壊とともに消えつつある。その背景としては、会社のISOの導入が進んだことと、QCサークルは時間外の活動である故に給料の対象とならない非正規業務であり、時間外勤務による過労死など問題もあり、2000年以降はほとんど消滅したといえる。

2-不合理な指導

  1. PDCAサイクルで行うべき改善をQCストーリーによる一発勝負の大きな成果を狙わせた。
  2. 立たない目標、立たない計画を強制した。
  3. その結果、虚偽発表が横行した。

QC活動は、小さな改善を七転び八起で積み重ねる活動である。従来のQCストーリーは、一発勝負で大きな成果を出せというもので、ダメなのは明らかだ。

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2-無給で強制

当研究所に寄せられた一通のメール

うちの会社では、QCサークルというのがあって毎回定時後にやるのですが、賃金が発生しません
 いわゆるサービス残業です。

時間にして1時間~1時間半程度。納得いかないのでQCサークルのある日でも無断で帰っていました。そしたら班長が課長に告げ口したらしく、課長に呼び出されて「なんでQC出えへんの?そりゃお金は貰われへんけど会社を少しでも良くしようと思ってやっとるんやで」と言われました。
 でもこれは嘘です。

QCをやるためにわざわざ議論するテーマを探しているんです。決して会社を良くするためなんかではありません。それに本当に会社を良くするためというならまずそういったサービス残業を無くすべきでしょう。ちなみに私は正社員ではなくパートです。会社をクビになるかもしれません。

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3-日科技連等の指導への批判

日科技連等の指導を受けた結果、どうなったか。

  1. 「自主的活動」と説きながら、実は「全員参加だから必ずやれ」と命令して強制する矛盾。命令するのに無給という矛盾。

  2. 活動テーマを1個だけ選定するから、発表テーマは常に一つしかなく、選べない。

  3. 「実現可能なレベルの少し上」という立てようのない目標を立てねばならない → 予言力が必要

  4. 何をしたらよいか分からぬうちに、全体の活動計画を立てねばならない → 予言力が必要

  5. 失敗は許されず、効果金額の高い改善を一発勝負で成功させねばならない(失敗した、という発表は許されない)。
墓

このように、「天才ですら出来ないQC活動」を「やった。そして成功した」とするウソ話作りで、職場はQCサークル活動の墓地になった。これでは、活性化どころか継続すら困難なはずで、現に衰退してしまった。

この章は、以上のような障害を克服する進め方について説明する。特に、改善活動の活性化に絞って進め方を検討しよう。

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1.指導者は誰?

指導

QCサークル(小集団)活動を始めるには、「やり方の指導」が必要だ。皆が、それは当然だと考える。だが、誰が誰を指導するか、この点で多くの人が間違う。

当研究所にも、新入社員を対象にQCサークル指導の依頼があって、引き受けるか辞退するか大変に迷う場合がある。

QCサークルを円滑に進めるのに必要な第一の条件は、部長・課長・係長・現場代理人(各工事現場の事業主代理)などの指導的立場の方々(以下、管理職と呼ぶ)に対する指導であって、新入社員教育ではないのである。

なるほど、QCサークル活動をするのはサークルメンバーだ。だが、日常管理は、本来、管理職の仕事である。管理職の名称の由来もここにある

QCサークルを指導する立場の人は、現場代理人を含む管理職だ。管理職が指導できないなら、「管理職が不在の企業」に等しいものとなる。


1-1.トヨタ堤工場事件

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かつてQCサークルは、「自主的(independent)活動」であるとされ、管理職は関与すべきでないと考える企業が多かった。

だが、2007年11月のトヨタ堤工場事件で名古屋地裁判決(確定)は、QCサークルの自主性を否定し、QCサークル活動が普段の仕事と何ら変わりない正式の業務(上司の指示に従うべき業務)であるとした。

トヨタの主張:QCサークル活動は、サークルメンバーが自己啓発を主な目的とする自主的に行う活動だから、正規の定時を超えて行っても残業手当の対象ではない。

裁判所の見解:QCサークルは企業の命令によって組織され、企業の命令によって行われており、発生した改善効果は企業に帰属する。故に、通常の正規の業務であり、残業手当を支払わなくてよいとする特段の事情は認められない。

仮に管理職が指導しないとなれば、外部講師が新入社員を教育して去った後に誰も指導できず、サークル活動の活性化は遠のいてしまう。

ついには「純粋のほら吹き活動」になって、これに気がついてQCサークルを一旦廃止して再開するまでに10年は無駄な年月を過ごすことになる。

外部講師が指導するときは、少なくも管理職が同席しなければならない。そして、その後は管理職が自ら指導するように切り替える必要がある。

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1-2.課長による日常管理

もう一つ、重要な問題。
 ある企業の管理職から、QCサークルの活性化の指導を依頼されたときの話。
 「活性化を進めたい理由」を質問したところ、「社長から活性化を進めるよう指示されたから」とのことであった。

「改善したい問題が沢山あるのにサークル活動が進まないから活性化したい」との話なら分かる。だが、課長が自分の課の問題点を知らずに上からの指示だとなると、QCサークルの活性化の前に課長の活性化を図る必要が出てくる。

中小企業でよくみられることだが、課長が雑用に追われて一作業員になっていることがある。朝から外製部品の催促、入荷品の運搬、工程間の運搬、作業指導、会議~等々、日常業務が雑用だけで占められ、課長としての管理業務は何もできない。

QCサークル活動の活性化以前に、課長による日常管理を定義して、課長を雑用から解放しなければならない。そして、課長が自らQC活動を学び、指導し、活性化しなければならない。

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2.活性化の現状

QCサークルの活性化とは、全員が「やりたくて仕方がない、ウズウズしている状況」にすることをいう。

放置すれば動かなくなり、「やれ」と催促すれば嫌々動き始めるが、しばらくすると活動しなくなるのが「活性化が必要な状態」である。

豚の木登り
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2-1.従来の活性化

従来も、活性化の進め方が指導された。
 それは、「発表させて、お偉方が褒める」というやり方である。「ここがよかった、あそこがよかった」と指摘して、とにかく褒めればやる気になるとの考え方だ。言い方を変えれば、「豚もおだてりゃ木に登る」である。

真に良かった点を褒めるならいいが、「何でもいいから、とにかく褒めろ」だから、QCのキューの字も分からない人が審査員を務めた。

多くは、会社のお偉方が審査員になった。
 褒めて、金・銀・銅、特別賞などを設けて表彰した。その結果、どうなった?

褒められる方も、内心穏やかでない。発表内容の大半が発表直前に作った作り話なのに、「なぜ、褒められるのか」分からずにキョトンとしている。

誰も指導できる人がいないのに、いくら褒めても活性化などムリなのだ。

相互啓蒙などはどこ吹く風だ。お偉方の前で「失敗でした」などと口が裂けても言えない。立ててもいない目標や計画を立てた振りをして、やってもいない要因分析をやった振りをして、改善活動の「大きな金額効果」を発表する。

「豚を褒めて木に登らせる積り」が、実は、豚の方が上手だった。サークル側も心得たもので、「金額効果が高ければお偉方が喜ぶ」と知っている。ウソをついて褒められ表彰され「来年は、どんなウソ話を作ってやろうか」と、悪だくみが活性化した。

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2-2.衰退の一途

全サークルが計画通りに活動し、改善に成功し目標を達成した話をする。「失敗しました」などと、正直に活動を発表するサークルなど見たことも聞いたこともない。これは、奇跡なのか? 実はウソ話なのか? 答えは明白だ。

だが、結局のところ、このような不健康な進め方は行き詰まる。いつのまにかQCサークルを廃止する企業が多くなり、衰退の一途をたどった。それが現状だ。

QCサークル指導が従来のままだと、活性化どころか壊滅は必定だ。病院や福祉施設のQCサークルも、産業界のQCサークルが廃止に追い込まれた歴史と同じ道を歩んでいる。

以上、「進め方に問題あり」との認識が重要。

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3.筆者の活性化

楽しい

本サイトを訪問された方は、ホームページのデザインが「何か他のサイトと違う」と感じられたと思うが、実はこのサイトは筆者が作った素人作品である。

今、筆者は老齢をものともせず、このホームページを作って、改善を重ねている最中であります。

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3-1.以前のホームページ

最近まで、HOME(トップページ)も、各ページも、画像も、全てルート・ディレクトリーに置いた。また外部 stylesheet もなかったし、「パンくずリスト」もなかった。

これで10年以上、Google や Yahoo でトップクラスの検索順位だったのである。1日のクリック数はGoogle+Yahoo=6,000~8,000 もあった。

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3-2.最近の検索エンジン

しかし、いつの間にか順位が下がった。
 検索エンジンのアルゴリズムが変わったのだそうだ。しかも、従来、Yahoo の レンタルサーバー(ジオシティズ)を使ってきたが、これが急遽廃止になった。

そこで、レンタルサーバーの変更とホームページの再構築に追われる羽目になった。当然、Google 検索順位は20位~30位に下がった。救いは、Bing の検索だと10位以内に入るようになった点。だが、Google や Yahoo でトップクラスになるように頑張ってみたい。

HTML と CSS を本で勉強して作っているが、最近は「やりたくて、やりたくて、仕方がない」状況だ。

実は、WordPress と Jimdo などのクラウド型も、ほぼ一年かけてやってみた。これらはデザインの骨格は予めできあがっていて、あとは日本語の文章を打ちこむだけ。

デザインはいろいろあって選択できるが、これらクラウド型は素人がやたらといじり回すことはできず、「自分で作る面白さ」は味わえない。クラウド型は「ムダな入力作業」が不要になると言われるが、このムダな入力作業にこそ、やり甲斐があるんだな。

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3-3.楽しさは止まらない

1919年7月、新たに自己流のホームページ作りを始めた。HTML と CSS で自作するのは、まさにCAPDサイクル の繰り返しである。プロのようには行かないが、楽しさはどうにも止まらない。

  1. ここが気に入らない(現状把握:Check)
  2. こうしたらどうか?(対策の検討:Action)
  3. そうしよう(対策の決定:Plan)
  4. やってみた(実施:Do)
  5. ここが気に入らない(現状把握:Check)

これの繰り返しだ。
 実際はどうしたらよいか、頭を抱えて夜も眠れず、「う~ん、う~ん」とうなされて苦しむけれど、それでも楽しいのなんのって。

何が楽しいかというと、新たに講じた改善策の効果がどうなるか、自分が買った株の値上がり状況を見るような気分なのである。ちょっと上がると「ウム! 上がったぞ!」と喜ぶが、翌日下がって「なぁんだ、ただのバラツキか」と冷静になる。この繰り返しである。

いまは、改良中で、いろいろやっている。

HPの改善
1HTML や CSS の作成に、Brackets を使う
2段落タグ<p>~</p>で囲う
3画面幅1000px~360px のFlexible化
4外部 stylesheet を作る
5カテゴリー、ページの階層化
6「パンくずリスト」を作る
7Sitemap.xml を作ってアップロード
8http → https 化する
9アクセス解析で、検索キーワード見る
10Google Consoleで不審なバックリンク削除
11Google Consoleでペナルティー監視
12Lighthouse でSEO,Performance, 100%化
13リンク切れチェッカーの利用
14検索拒否のnoindex
15robots.txtを送信
16キーワード率の向上(5%化 → 奮闘中
17Ennoによる文書校正
18W3C Link Checkerによるlink,html,cssの検査
19Google Analistics によるデータ解析
20「.htaccess」を修正して正規化する。

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3-4.楽しければ、成果も上がる

1919年7月に今の新しいホームページを立ち上げてから約1年半かかって、1日のクリック数(各週の最大値)がようやく 300 に到達しつつある。

Google Console 2020年11月30日現在
google-console

かつて、1日のクリック数は GoogleとYahooが約半分ずつで合計 4,000 もあったから、現在の7倍に持って行かねばならない。いや~、こりゃ大変だ。

たが、まだまだ分からないことが沢山あって、「もう少し何とかならないか」が止まらない。

このホームページは HTML4.01 で作ったが、HTML5 でなくてはダメかな~との疑問があった。しかし、それは関係がないと最近分かった(HTML4.01でトップになっているサイトが見つかった)。

今一つ分からないのは、例えば「改善」カテゴリーに属する10個のページをどうするか。

  1. 1ページに纏(まと)めるのがいいのか、
  2. キーワードごとにページを分けるべきか。

「1ページ1キーワード」との指導を見受けるが、それがなかなか困難だ。

現在、SEO の本を買って Google 検索の上位を目指して勉強中でありますが、カタカナの専門用語が頻繁に使われ、意味が分からずに苦戦を重ねている。

自分の話はこれぐらいにして、そうそうQC改善の活性化の話だったな。

CAPDは、なぜ止まらないか?

やるたびに、失敗だったり良くなったりするからだ。やった改善策の結果を知りたくてウズウズする。少しでも良くなれば、「もっと、良くなるんじゃないか」と欲が出てくるから、この「少し良くなる」が重要だと感じている。


4.QC活動の進め方

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活性化の特効薬がある訳ではないが、確かに「やりたくて、仕方がない」という心理状態は実在する。要するに、金額効果などの難しい要素は全て排除して、活性化する要素を列挙する。

  1. 課長は課長職に徹する
  2. テーマは無限にある
  3. 同時に多数のテーマ
  4. 簡単なことをやれ
  5. 少しの効果を喜べ
  6. CAPDを何回も繰り返す
  7. 上司も一緒に考える
  8. 相談所を設ける

以下、各項目を説明する。

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4-1.課長は問題を把握せよ

なぜ、活性化を求めるのか?

「改善して欲しい問題があるから」でなければならない。「問題は分からないが、とにかく活性化したい」というのでは話にならない。

まず、課長を雑用係から解放し、本来の課長職の管理業務に復帰させよ。課長はいろいろな特性を可視化し、あるいはテーマの棚卸をして、常に職場の問題点(もう少し良くできないかと望む点)を把握しなければならない。

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4-2.改善テーマは無限にある

「テーマがなくて困った」というのは、誤った指導によるもの。

「これ、もう少し良くならんかな?」と思った瞬間に改善テーマになると考えるのが正しい。だから「テーマは無限」だ。

金額効果や大きな効果を求めず、何よりも「やってみた結果はどう?」の繰り返しが活性化の推進力だ。

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4-3.同時に多数のテーマに取りかかる

同時に多数のテーマに取りかかると、「手を掛ける行為」が多くなる。

テーマA・B・C・D・Eを手掛けていれば、テーマAに効果が出なくてもDに効果が出る。すると、全体として効果が出やすくなる。

また、全員参加が実現しやすい。テーマが1個だと誰かがやってしまうが、テーマが多数あると誰でも手を出せる。

さらに、Aさんは第1テーマを得意とし、Bさんは第2テーマを得意とし、Cさんが第3テーマを得意とするなら、適所適材が実現しやすい。

 → 複数テーマのメリット

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4-4.簡単なことをやれ

簡単な改善をするのが重要だ。いろいろやっているうちに少しずつ進歩するから、今は簡単なことだけやっていればよい。

製品に汚れが付くなら、まず、毎日の汚れ品の発生率を折れ線時系列グラフに表わそう。次に、発生する場所(工程)を突き止めよう。

製品が触れそうなところを清掃して、結果を見よう。これでCAPDサイクルの一回目。それで改善効果が出ないなら、製品に触る人の全員が薄いビニル手袋をしよう。

それでも改善効果が出ないなら、その汚れの正体を突き止めるために、成分の分析を依頼しよう(都道府県の工業技術試験所等)。

このように、改善策を打ちながら、少しずつ調査の範囲を広げてみる。

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4-5.少しの効果を喜べ

たとえ少しの効果でも、上司が認めることが大切だ。「なぁ~んだ、たったこれだけ?」と考えてはならない。そのわずかな効果が、いずれ大きな効果に繋がるからだ。

少しずつ改善を重ねると、改善力(アイデアの発想と実行力)が次第に身についてくる。数年もすれば、やった人とやらなかった人では目に見える差が出てくる。

筆者が務めた会社で、あるサークルが直交配列表を使って7個の要因の影響力を調べる実験を発表した。結果は「どの要因も、影響力はありませんでした」というものであった。

この発表を聴いた専務は「そんな活動はダメだ。なんの成果もないじゃないか」と酷評した。

これは、専務の方が間違いだ。
 専務は、活動は一回切りだと思っており、CAPDサイクルを繰り返すことが頭にないから失敗だと思っている。金額効果がないから成果なし~と判断されたかも知れないが、実は大変な成果があった。

「従来、疑わしいと思っていた要因が、実は白であり、原因は他にある」と分かっただけ、大きな進歩だ。

技術開発や改善の実務に没頭した人なら当然の話だが、その経験がない人は「この次のサイクル」を考えない。一発勝負を前提に「失敗だ!」と誤解するのである。

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4-6.CAPDを何回も繰り返す

QCサークルを活性化する上で、一番の基礎はCAPDサイクルを何回も繰り返すことだ。

人は、何かしら新しいことをすると「結果はどうなった?」と、改善効果を知りたがる。この「知りたがる」ことに、活性化の源泉がある。何回失敗してもよい。改善効果がなくてよい。とにかく、対策案を考えてやってみる。これの繰り返しだ。

  1. 機械を疑ってみる。
  2. 材料を疑ってみる。
  3. 作業方法を疑ってみる。
  4. 測定を疑ってみる。
  5. 人による差(熟練度の差)を調べる。

最初は、やってもやっても見つからないが、やっているうちに問題点が絞られて来て、ある日「おや!」と思う事件に出くわす。すると、今度は「やりたくて、やりたくて」の状態になる。

一番ダメなのは、従来のQCストーリーである。
 目標を設定して、一つの改善策を講じて一発勝負で改善成果を出さねばならない。これだとサイクルを回せず、「やりたくて、やりたくて」の状態になる機会が全く来ないのだ。

改善効果はなくて良いから、とにかくCAPDサイクルを回す活動だけは切らさない。これが大事なのである。

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4-7.上司も一緒に考える

問題の把握

従来は「自主的活動」という誤った指導により、上司が関与すべきでないものとされた。それが誤りだと、裁判所が認めている(名古屋地裁判決:トヨタ堤工場事件)。

上司が職場の問題に「私は無関係」という態度ではどうにもならない。上司が毎日関心をもって関与し、一緒になって考える習慣が重要だ。

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4-8.推進委員会が相談所を設置する

相談

従来も推進員会はあったが、各サークルの進捗状況を調べたり発表会の開催を取り仕切ったりするのが主な役目であった。しかし、これでは「推進」の役目は果たせない。

相談窓口を設けて、行き詰まったサークルに適切な助言をする有能人材を用いて、活動を支援する制度が役立つと思われる。この点も、自主的活動の名の下、無視されてきた。

相談所は、その問題に最も通じていると思われる職員を1~数人を割り出して、応援を求める。固有技術的な支援の他、特に、次の技法の使い方などの指導により改善活動をサポートできる場合がある。

製造課長が事務系の出身者であるような場合には、生産技術科の技術者をサークルメンバーに組み入れて、活動を推進することも考える必要がある。

「自主的活動」という有害な壁を取り払うことによって、第一線の担当者はQC改善に関する多くのことを学ぶようになる。

(第7章 終り)
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© 客観説TQM研究所 鵜沼 崇郎